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翻訳会社で15年以上さまざまな業務を担当してきた筆者が、業界の最新の事情などについて思うところを書いていきます。
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機械翻訳で相次ぐ「誤訳」事件
「誤訳」がこんなに世間を賑わせることは今までなかったのではないでしょうか?

東北観光博のHP、誤訳修正し再開 観光庁
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120531/plc12053118580017-n1.htm

奈良観光、誤訳だらけ…外国語HP一時閉鎖
http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20120526-OYO1T00431.htm

両方とも観光に関するホームページでの出来事です。
そして両方とも経費を抑えようと自動翻訳システムを使ったことが原因とのことでした。

「あきた千秋公園桜まつり」の「あきた」が英語で「飽きた」の意味の「tired」になってしまったり、東大寺の大仏を、姓の「大仏=おさらぎ」と認識して「Mr.Osaragi」と翻訳。「仏(ほとけ)の慈悲」は「仏」を略語と解釈して「French Mercy(フランスの慈悲)」としたり。

「平城京へ都が遷うつされた」との部分は、訳せなかった「遷」の字が英文に混じっていた、などなど目を覆いたくなるような誤訳、ミスが満載のようです。

機械による自動翻訳システムを「信頼」し、ノーチェックのまま HP 公開までしてしまうという姿勢が、翻訳業界にいるわたしたちにとってはびっくり仰天な発想です。

というのはいくら優秀な自動翻訳シフトでも、そのままでは使い物にはならないというのが業界の共通認識だからです。

東北観光博のHPの責任機関である、観光庁は「今後も更新の際に自動翻訳機を使うが、内容を確認してから公開する態勢を整えた」とのことです。

奈良の場合は1言語で150万円だった翻訳の外部委託をやめて、全部で35万円のインターネットを利用した自動翻訳システムに変え、固有名詞の読み方もあらかじめ登録していなかったことからミスが続出。確認作業も怠っていたとのことです。

これらの「誤訳事件」の背後にあるのは翻訳に関する経費節減です。

どの政府機関でも自治体でも経費削減が叫ばれており、税金の無駄遣いを防ぐという点で経費節減自体は好ましいことではあります。ただ、観光立国を目指す日本としてはこのような観光ホームページにおける誤訳は恥ずかしい限りです。

誤訳が命の危険にも関わりかねない、機械、精密機器のマニュアルの翻訳に比べれば、大仏を「Mr.Osaragi」と誤訳したからといって誰にも危害が加わるわけではないのは確かです。

しかしながら、せっかく日本に関心を持って訪れようとしてくれる外国人観光客への良い印象にはつながらないことは確かです。

政府機関や自治体の方々には「観光立国」を目指すなら翻訳料を無理に「節約」せず、翻訳業界にも適正なお金を落とすことによって翻訳業界を支えていただき、ひいては正しい翻訳でたくさんの外国人観光客を集めて頂きたい、と切に願うところです。
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2012/06/16(土) 09:28:31 | | # [ 編集 ]
Re: タイトルなし
コメントありがとうございます。同感です。翻訳という仕事に対する社会的な認知度が低いことが、こういったことの原因の1つであるように思います。翻訳会社は、自社がよければよいという姿勢から脱却し、翻訳業界、また翻訳という仕事の社会的地位向上のために何ができるかを考えるべきかと思います。
2012/06/21(木) 15:58:47 | URL | pluslink45 #- [ 編集 ]
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2012/07/08(日) 14:21:58 | | # [ 編集 ]
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